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微妙にシンデレラ

新幹線に乗り込み自分の指定席の番号を確認しつつ通路を歩いてゆくと、ワタクシの目尻に何気なく入ってきたのは、曰くなさげな男女二名。一方はやや禿かかった50代鋼板かちんかちん後半あるいは六十路の坂も越えたかというオイちゃんで、もう一方はその女房といった風情の、かなりぽってりとした女性。ちょうどワタクシの座席の前二つを占領しているのでありました。

さて、その様子が見るともなく見えてしまうのですが、新幹線も出発間際になってオイちゃんは女性に500円玉を握らせます。ちょうどワタクシが上着を脱いで座ろうかという所、

なんだビールでも買いに行かせるのか

──と思って、こちらは空腹を満たすために買い込んだサンドイッチを手にし、はやる心を抑えつつ順番に包装を解いてゆく──と、戻ってきたのは太った女房。買ってきたのはビールじゃなくてコーラであります。しかも実は、女房と呼ぶにはかなり若い。そしてかなりふくよかでカツ不美人。

ほほぉ娘さんか。

──と思ってこちらは空腹を満たすために、はやる心で包装を解いたサンドイッチを、高まる気持ちを抑えつつ少しずつほおばって──ぼちぼち新幹線も出る頃合い──と思った辺り。

じゃあ、支店長。今日は本当にごちそうさまでした。

ぬ?

支店長?

──ということは、この前の座席の二人は親子でも何でもなく、部下と上司?

ほほぉ、オイちゃん存外隅に置けぬなぁ。しかも女性はかなりぽってりとしてカツ不美人。

女性は、見送りに来たのでありますな。そうして新幹線を降りてホームに出ると、それはまるで別れを惜しむ恋人のように、携帯電話を取りだして写真を撮ったり──するだけでなく、電話で会話まで始めるのであります。上司の声が聞くともなく耳に入ります。

さっき、ジュースを2本買ってくるのに350円渡したのに、どうしておつりが250円なの?

ほお。女性は遠慮してなにやらおつりを余分に渡したのですか。

その女性。出発間際までホームから上司を見つめております。上司がどういう顔をしているかは、こちらからは察することはできません。

──いよいよ発射となってそのピストン運動が激しさを増してくると女のあえぎ声にも抑制がなくなり──ではなく、新幹線が動き始めると、その女性は上司の姿を追いかけてホームを小走りに走ってくるじゃないですか。ドスドスドス。もちろん、その姿は瞬く間に後方に消えてゆくのでありますが。

ほぅ。この二人、まったく間柄が分からぬが、ここまで親密にする以上何かそこには深い感情の交流があるのだろうな。

と想像させてあまりある。しかしにもかかわらず、女性の礼儀正しさ。そしてぽってりとした体型カツ不美人。その間には何もあるまいが、嬉しいんだか嬉しくないんだか、上司もまんざらでもない様子。

ぽってりさんの恋心なのか、不倫の前兆なのかよくわからぬが、見ていてもちっとも羨ましくもなく、色気もなく、背徳さえ感じない、曰くなさげなその二人。何故だか分からぬが、好感を催した次第。
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